本日ほぼ同時刻、現場と本社作業場にて、2つの作業が同時進行していました。
↑先日移設したばかりの手水鉢です。あの巨体が地面の中に埋まっています・・・大工工事が始まれば屋根が新設されます。力持ちのカニクレーンがまだいますね・・・
↑実はこれ、石積み(といっても高さは1mに満たないくらい)を造る最初の段階で、ピンと張った糸に合わせて石を並べているのです。奥に見えるのは先日から引き続き石材店の職人さんです。大小、大きさが異なる石を積んでいるので『乱積み』という積み方だと思います。
夕方にはコンクリートを打設し、1段目が終了したらまた石を積んでまたコンクリートを打設して・・・と繰り返します。この積み方は『練積み』ですね。
ここでの仕上がりは職人さんの腕にかかっているのですが、気になったのが糸の両端にある木の杭のような棒のような・・・これを基準に糸を張って石を積んでいくのはわかるのですが、なんか斜めになってますよ!?そのままでいいの?
そう、これはあえて斜めにしているのです。(今回はちなみに一寸勾配≒5.7°ほど傾けているようです)理由は『人の見た目』で、石積みの場合、地面に垂直に積んでしまうと、真っ直ぐなのに倒れているように見えるそうです。不思議ですね。
↑そして作業場では、大工さんが柱に使うヒノキの加工をしていました。木材の『芯』(年輪の中心)があるものが柱材として多くつかわれますが、新しい材料にわざわざ切れ目を入れて木で埋めています。これでは強度が落ちてしまうのでは!?・・・
なぜこんなことをするのか?このように切れ目を入れることを『背割り』といいます。木は時間が経って乾燥すると収縮するのですが、中でも『芯』を持つ材料は、芯のある内部側と外気に直接触れる外部側では『収縮率』が異なるため、外側から割れてきてしまうのです。
↑こんな感じです。一か所だけでなく数か所割れているのがわかります。
ちなみに収縮率は外側が内側の2倍くらい。同じ収縮率なら全体的に小さくなるだけですが、芯持ちの柱材は外側の方が内側の2倍速く縮むので、どうしてもバランスが崩れてきます。そして、外側から大きさ(体積)を調整するために割れてくるのですね。
ということで、自然に割れる前に『背割り』を入れてあげます。そうすれば事前につくったこの背割り部分で収縮を調整してくれますので、他の外側面が割れることはほとんどありません。
特にこの柱材を化粧材(仕上がり面、つまり見える部分に使用)に用いる場合には、隠れる面(例えばその柱に壁または建具の枠などが付く面)に背割り部分をもってきます。隠れるから『背』という表現なのですね。
今回は柱材の4面(全面)が化粧となる箇所があるので、背割りに埋め木をして仕上げます。この作業を『背割り埋め』といいます。切れ目を入れるので、多少強度が落ちますが、理由がわかれば納得です。
このように家づくり(特に注文住宅)はもちろん、工事や作業の現場に関わることで毎日発見があります。このブログを書くために調べることもあります。何気なく大工さん、職人さんの作業を見ているだけでは気づかないことだってあります。
勉強不足というわけではないのです。「これ何ですか?」と聞ける人間が他人より早く成長できる。建築の現場はそんな素直な目で見ることが大切です。
これからお客さまになる予定?の皆様も疑問、質問があれば私たちに遠慮なく聞いてくださいね。そしてこの興味深い建築の世界にドップリ足を踏み入れてください。そうすればあなたの家づくりが本当に楽しくなりますよ(´>∀<)ノ